外側上顆炎?テニスしてないのにテニス肘?
当院では肘の外側の痛みを訴えて来院される方が多くいます。
日常生活の中で手を使う際の何気ない動作や、物を持ち上げるときなどに痛みが出現し、徐々に強くなっていきます。
テニス選手やゴルフ選手などスポーツをしている人に多いですが、中にはテニスをしたことが無いのに病院でテニス肘と診断されたり、ネットで調べると症状が一致するなどで痛みが軽減せずに悩んで来院される方も少なくありません。
重いものを運ぶ動作や家事、デスクワークが多い人にもよく起こる症状で、必ずしもテニスをしているからなるわけではありません。
使用頻度の高い場所であり、我慢すると痛みが悪化していくため、早めに治療することをお勧めします。
テニス肘とは
テニス肘とは上腕骨外側上顆炎のことを指します。
上腕骨の外側上顆という場所に付着している筋肉が収縮し何度もひっぱることで徐々に炎症が起こり、慢性的な障害になったものをテニス肘といいます。
肘の外側には短橈側手根伸筋、長橈側手根伸筋、総指伸筋という3つの筋肉があります。
手を使う動作により何度も牽引されることで炎症が起き、テニス肘となります。
昔のテニスはバックハンドを片手で打つことが主流であり、その際に過度な負荷が外側上顆にかかり、痛める人が多かったことからこの名前が付きました。
また今のような高反発のラケットでなかったため、片手で強く打つ必要がありました。
現在は両手バックハンドが多くなり、ラケットパワーも向上したためテニス選手のテニス肘は以前より減少し、むしろ熟練者であれば内側(野球肘と言われる場所)に痛みが出ることも多いです。
ややこしいですが…
一般的な発生原因
外側上顆には物を持ちあげたり、雑巾を絞ったり、手首を反らせるときに使う筋肉が集まる場所となっているためフライパンを振る、買い物袋を手のひらを下にして持ち上げる、コップを持ち上げるなど普段からよく行う動作で負荷がかかり痛みが出ます。
さらに症状が進行するとペンで字を書くことやパソコンのキーボード操作、マウスのクリックなどでも強い痛みを感じるようになる場合もあります。
強い負荷に耐えられる筋肉でないため、繰り返し使うことにより筋肉や腱と骨の付着部に炎症が起こりテニス肘になります。
40歳以上の主婦にも発症率が高いことから、加齢による筋力の衰えや変性、性別などとの関連性も指摘されています。
当院の治療法
一番の治療法は手を使わないことです。
負担がなくなるわけですから最善の方法ですが、日常生活を送るうえではまず不可能です。
まずは日常の中のどんな動きで肘に負担をかけ、痛みを出しているか原因を探り、状況を把握してから治療を行います。
超音波エコーでの病態把握
超音波エコーで骨や筋肉、腱の損傷程度、ドップラーでの炎症反応を確認します。
「正常な肘のエコー」
濃い白色のラインが骨となります。左側は上腕骨、右側は橈骨です。
骨の上にある川のように流れている繊維が筋肉です。
これをフィブリラパターンといいます。
この正常な肘のエコーでは骨に損傷がなく、筋線維がきれいに描出されます。
骨が損傷されると表面に不整像が確認でき、筋肉が損傷されるとドップラーにより炎症反応がみられ、フィブリラパターン(筋線維)の消失が見られます。
「筋肉に損傷が見られる肘」
ドップラーによる筋肉の炎症反応が見られます。
赤くなっている所が炎症反応を起こし、血液を集めて治そうとしている場所です。
また健側に比べて患側の筋肉の幅が大きく、腫れていることが確認できます。
「骨に損傷が見られる肘」
この写真では筋肉の繰り返しの牽引力により、骨が剥がれて小さな白い欠片が見えます。
フィブリラパターンも消失しており、筋肉の損傷が確認できます。
エコーで病態をしっかり把握することで、どのように治療すべきかを決めることができます。
そして経過をたどりながら現状を確認し、治癒を目指します。
ハイボルテージ・超音波・コンビネーション治療
痛みの軽減や筋肉の緊張緩和、炎症症状の軽減に効果があります。
電気を深部組織に到達させ、負担をかけている筋肉の柔軟性を上げることで牽引力を低下させ、痛みを減少させます。
ショックウェーブ
痛みが長いこと続き、変化が少ないような慢性状態となっている場合はショックウェーブを行います。
慢性化した組織に刺激を与え、新生血管の再生を促し活性化させることで治癒を促進します。
また生活の中で負担になっている動きを修正し、ストレッチやトレーニングなど家で出来るケアをお伝えします。
伸筋群のストレッチ
肘を伸ばしたまま手の甲を反対の手で持って、手のひら側に曲げるようにして筋肉を伸ばします。
※痛みが強くならない程度に30秒行ってください。
伸筋群のトレーニング
膝の上に肘を置いて腕を安定させ、手首の位置を固定したまま行います。
おもりを持ち上げるときは反対の手でサポートし、力を入れないように背屈させます。
背屈させた状態からゆっくり手首を下ろし、力を入れてコントロールしながら筋肉を伸ばすトレーニングを行います。
外側上顆炎は負担がかかりやすく無意識に手を使ってしまうため難渋するケースが多いです。
痛みが出始めてから対処が早ければ早いほど、痛みの軽減も早くなります。
慢性化する前に治療を行い、家でのケアをお伝えして痛みのない日常生活を送れるようサポートします。
ブログ・目次
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- 肩こり 頚肩腕症候群 姿勢不良(1)
- 頚椎症性神経根症(1)
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