腰痛と呼吸
執筆者 山本幸治
普通一般的には呼吸が腰痛に関係あると考える人は少ないのではないでしょうか?
しかし腰痛患者の呼吸は浅くて早く、横隔膜の上下動も乏しいという報告があります。
下の図は人間の体を輪切りにして、横隔膜を下方から覗き上げるようにしてみた図です。
そのため腰痛持ちの患者さんは、横隔膜を本来の呼吸筋として使うのではなく、姿勢制御筋として使っているといわれています。
腰痛持ちの患者さんは横隔膜の上下動が少なくなるということは、呼気の際にしっかりと横隔膜がドーム状に上に持ち上がりません。
吸気時のように横隔膜が下がった状態で生活することが多くなり、横隔膜の前方部が不活性、後方部が過剰活性して付着する腰椎を伸展方向に引っ張ってしまいます。
横隔膜が正常な呼吸運動のために使われるのではなく、そのような姿勢の制御に使われてしまうのです。
そのため、呼吸に介入し横隔膜が正常な上下動を伴った働きをすることで、多裂筋、腹横筋の筋肥大が起こるともされています*。
≪参考文献≫
*Barton E. Anderson and Kellie C. Huxel BlivenThe Use of Breathing Exercises in the Treatment of Chronic, Nonspecific Low Back Pain in Journal of Sport Rehabilitation 2017;26(5):452-458.doi: 10.1123/jsr.2015-0199.
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