東海野球傷害研究会

 昨日は第15回東海野球傷害研究会行ってまいりました。

 講演Ⅰ
  投球時の傷害の多くみられるものとして後方痛があります。

 後方部痛を呈するものには
1)Bennett骨棘
2)QLSS(Quadrilateral space syndrome)
3)肩甲骨内上角炎
4)リトルリーガー肩

 などがあります。

 そのBennett骨棘も、上腕三頭筋付着部に発生するという説と後方関節包部に発生するとしたものと分かれます。今回、杉本先生、後藤先生、武長先生らの研究によると、解剖的側面、臨床的側面から肩甲骨関節面の約7時の方向に上腕三頭筋付着部があり、後方関節包部よりもやや外方に位置し、同部位に骨棘ができることから、やはり上腕三頭筋が大きく関与すると思われるとのこと。ただ、上腕三頭筋付着もバリエーションが多彩で当然、後方関節包にも線維を伸ばしていると思われ加味する必要がある。

 講演Ⅱ
 以前にもお伝えした瀬戸口先生のThrowing planeのコンセプトについてでした。
近年スポーツ科学の分野において投球フォームについて色々な研究がなされています。その中で特に今まで漠然としていたCocking phaseからAcceleration phaseでの負担のかからない、効率的なモーションを言葉の定義づけとともに講演いただきました。

 ・Shoulder plane
・Elbow plane
・SEA
・Under SEA
・Over SEA
・Single plane
・Double plane
・THABER concept
・Out of plane
など

 ・Shoulder plane : 投球時の上腕骨軸の軌跡
・Elbow plane : 投球時の前腕骨軸の軌跡
・SEA : Shoulder planeとElbow planeが一致する角度
・Under SEA : 外旋が不十分でSEAに達していない
・Over SEA : 過剰な外旋状態
・Single plane : Shoulder planeとElbow planeが一致した状態
・Double plane : Shoulder planeとElbow planeが一致していない
・THABER concept : (Total Horizontal Abduction External Rotation)股関節、体幹、肩甲骨などの運動連鎖によるトータルコンセプト
・Out of plane : 前額面上もしくは肩甲骨面上の2次元的平面から逸脱した状態

 何度聞いても、分かり易くとても理にかなった運動連鎖です。
このように投げられれば、傷害発生率も下がりパフォーマンスも向上されるでしょう(球速Up)

 講演Ⅲ
 近年注目されているスポーツ選手の腰椎分離症です。

成長期に多く発生し過負荷による疲労骨折です。
スポーツ種目別発生件数としては、野球が圧倒的に多く、次いでサッカーということでしたが、競技特性というよりも、やはりこの年代野球とサッカーをする子が多くその為だろうとのことでした。

 伸展・回旋を強制する種目に多い。野球であれば、投球動作・バッティング動作。
スポーツ選手の9%にみられる。

 発生要因は、先天的素因(後弓の低形成)+スポーツによる負荷

 分離症からすべり症への進展は10~20%にみられ、
進展しやすいのは

 ・若年発症(小学生低学年)
・女性(弛緩性が高い)
・楔状化した椎体
・分離部の可動性

 すべり症に進展すると下肢への神経症状が出現する可能性がある。

 初期で発見すれば骨癒合が期待できる。CT及びMRI撮影が必要。
CTにより形状を把握する。亀裂型(角が角ばっている)、偽関節型(角が丸まっている)
MRIは骨折初期診断に有用。

 病期により癒合は期待できず疼痛管理。
癒合を目指す場合、スポーツの完全中止(体育も中止)+軟性コルセットor硬性コルセット処方により3~6ヶ月。

 リハビリ及び予防は
・股関節周囲筋群のtightnessを緩和(ストレッチ)
・体幹筋群の強化(特に腹筋群)

 手術適応は
・分離部が偽関節型
・スポーツ継続の希望が強い
・痛みが消失しない
など

術式は
・分離部修復術
・椎間固定術

 いずれの先生方にも講演の後の懇親会にていろいろお話をお伺いしました。
ご高名な名古屋スポーツクリニックの杉本先生には、OCD(離断性骨軟骨炎・外側型野球肘)の不安定性のエコー評価について。
また中日ドラゴンズチームドクターであられる、みどりクリニック瀬戸口先生は現場と医療とのギャップについて嘆いておられました(経験論的な現場と科学的な研究、解明を進める医療)。両方に関わり合いのある私には考えさせられる事であります。
また腰椎分離症は、やはり形成されても以後のスポーツ活動にそれほど支障のないことも多く、そのことがこの時期(一番活発な成長期時期)の運動の完全中止との狭間で単純なものではないということを再認識させていただきました。

 

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